日々の暮らしに欠かせないテーブルウエア。器が異なるだけで、同じ料理でも美味しく感じられたり、会話が弾んだり、食卓が華やかになったりと、私たちに幸せな時間を与えてくれます。どこかファッションと通じるところがありますが、今シーズン、ロンハーマンに素敵なアイテムが仲間に加わりました。フランス発の「EKOBO」(エコボ)です。
「EKOBO」は Boo(ブー)さん(手前)とBruno Louis(ブルーノ・ルイ)さんファミリーの食卓から生まれた。「EKO」は英語の「Ecology」を意味し、「BO」はフランス語の「Beau」(美しい)から派生した造語
シンプルながら無駄を省いた機能的な美しいデザイン。ポップな色遣いでありながらも料理を引き立てる落ち着いたトーン。そして安心、安全で環境にも配慮された素材。「EKOBO」を手がけるのは、 Boo(ブー)さんとBruno Louis(ブルーノ・ルイ)さんのパートナーです。18年前、二人が子どもを授かったのがきっかけでした。「私たちは子どものためにもっとも良い環境を用意してあげたかったのです。子どもは見た目がかわいい、きれいならば、食べてみたくなるじゃないですか。だからこそ、安心安全、落としても壊れない耐久性があり、しかも見た目が美しい食器が必要だったんです。ですが、どこを探してもそのような食器は見つかりませんでした。当時はプラスチック製がほとんどでしたから」とブルーノさん。
今シーズン、ロンハーマンが「EKOBO」に別注したクリーム、テラコッタ、ペールブルー、サンドの4色。シーンを選ばずに活躍するオールラウンドな色遣い
「なければ自分たちでつくろう」。母親のブーさんはデザイナーとしての経験を生かして、新たな試みを始めました。手がけた食器に子どもは大喜び。周囲の勧めもあり販売したところ人気を呼び、ヨーロッパ中に広がっていきました。「今は3人の娘がいますが、子どもが気に入らないものは製品化しませんでした。彼女たちは『EKOBO』のご意見番なんです」とブーさんは笑います。「私にとってのデザインの場所はキッチンです。子どもたちの食事をつくることでデザインのインスピレーションを得ているのです。キッチンとダイニングテーブルは私にとっての仕事場なのです」
「形のシンプルさに暖かみのある色を加えることで、『EKOBO』は出来上がるのです」とブルーノさん
子どもに向けてつくったとはいえ、それは「子どもっぽい」ことではないとブーさんは強調します。「『EKOBO』は私たちのライフスタイルの表現です。それはとてもシンプルなのです。心地よいデザインでできていて、私たち家族がどのように生活をしているか、どのように生活したいかを物語っています。大人が一緒にダイニングテーブルを囲んでも遜色がない、大人でも魅力が感じられる食器と自負しています」
「EKOBO」から感じる温もりは、自然素材である竹からつくられていることが理由の一つだろう。「アジアでは古来よりさまざまな用途で竹が使われてきましたが、欧米ではまだ馴染みがありません。『EKOBO』は西洋とアジアの文化のインスピレーションとのコラボなのです」
では、「EKOBO」を手に取ってみましょう。陶器や磁器、漆器とも異なる不思議な手触り。自然なやわらかさと温もりが手元から伝わってきます。それは「EKOBO」の原料にあるのかもしれません。「EKOBO」は、私たち日本人には馴染みが深い「竹」からできているのです。「竹を選んだのは、地球上でもっとも再生可能な資源の一つであるからです。竹は1日に最大1メートルまで成長するそうです。肥料も農薬も除草剤も必要ありません。生態学的な奇跡といってもいいでしょう。環境にダメージを与えることなく、3年ごとに継続的に収穫できます」とブルーノさんは語ります。商品化にあたり何年も試行錯誤を繰り返して、ようやく実現。自然由来の安全性はもとより、驚くのはその耐久性です。「実は18歳になる長女はまだ最初に使った食器を使っているんですよ」と笑います。
「『EKOBO』はファッションブランドではありません。ですが、私たちのタイムレスで時を超越したデザインのアイテムは、ファッションの新たな一つの光になり、未来へつなぐことができると信じています」とブーさんは力強く語る
娘たちの成長とともに「EKOBO」のラインナップも増えていきました。ですが、「ミニマリスト」の二人は「余計なものはつくらない、余らせない」という信条を守っています。「EKOBO」はテーブルウエアとしてだけでなく、デスクでトレーにしたり、バスルームで用いたりとさまざまな用途で使うことも見据えてデザインしているのです。ルイさんファミリーのライフタイルも、これからどんどん変化していくことでしょう。どんなアイテムが生まれてくるか楽しみです。「『EKOBO』は私たち自身なんです。ですから、私たちが皆さんのご家庭におうかがいすることができて大変に光栄に思っています。皆さんの生活に受け入れてもらえることがうれしいです」とブーさんとブルーノ・ルイさんは微笑みます。
子どもたちとともに「EKOBO」も成長してきた。今後、どんなアイテムが生まれるか楽しみだ