「お店の香り、すごくいいですね」
お客様から、このように声をかけていただくことがあります。ロンハーマンでは“香り”をとても大切にしています。お気に入りの香りを楽しむことは、好きな服を着ることと同じ。幸せな気分になり、今日という日が特別な一日なります。ストアの空間も同じ。心地よい香りは、音楽やインテリアと同じように、店づくりの大切なエッセンスの一つなのです。
ロンハーマンは「APOTHIA」の香りで彩られている。スタッフがストアの特色に合わせて店内のフレグランスをセレクトしているので、それぞれの店ごとに違う香りが楽しめる
お客様から「ロンハーマンの香り」と呼ばれ長年愛されているのが、「APOTHIA(アポーシア)」です。2001年にロサンゼルスで誕生したフレグランスブランドで、ロンハーマンではロサンゼルス、メルローズの本店はもちろん、2009年の日本上陸時から現在まで全国のストアでパフュームやキャンドル、ディフューザーなどを展開しています。ストアでもインテリアを見回すと、所々に「APOTHIA」のディフューザーが置いてあることに気づかれるでしょう。
「APOTHIA」のベストセラーフレグランス「IF」。3種類の柑橘系にフリージアと白クチナシのブーケをブレンドして、さわやかながらラグジュアリー感を。L.A.セレブリティの85%が一番に選んだ”全ての人に愛される香り“
「APOTHIA」を手がけるのは、長きにわたりロサンゼルスで人気セレクトショップのオーナーを務めてきたロン・ロビンソンさん。ファッションだけではなくライフスタイルにかかわるさまざまなアイテムを提案したい。その一つとして生まれたのが、フレグランスでした。
「創立当初、パフュームは有名なハイブランドのものでないと売れないと考えられていました。その既成概念を乗り越えて、若い人たちに自分を主張するための香りを楽しんでもらいたかったのです」
「APOTHIA」の生みの親、ロン・ロビンソンさん。「私にとって香リは言葉や絵画と同じようにアートであり、4 次元の世界に連れて行ってくれるツールなんです」
ロビンソンさんの思いは多くの人に受け入れられ、プロモーションをほとんどしないのにもかかわらず、「APOTHIA」は口コミで人気を呼び、さまざまなセレクトショップやハイブランドからオーダーがくるようになりました。ロビンソンさんとロンハーマンの創業者であるロンは古くからの友人。その縁で、「APOTHIA」が誕生して以来、ロンハーマンにも欠かせないフレグランスとなったのです。
驚くことに、ロビンソンさんは「APOTHIA」を手がける前にフレグランスの知識はなかったそう。ですが、自らの“香り”の記憶を辿ることで、そのセンスを開花させました。
「僕は子供のころに祖父が使っていたフレグランスの香りをよく覚えています。それは、祖父の香りというだけではなく、祖父がいた場所や周りにいた人々のことも思い出させてくれます。実は自分でもそれほど香りというものに興味があるとは思っていなかったのですが、『あっ、もしかすると僕は“香り”に向いているのかもしれない』と思い始めたのです」
そして、2006年には世界中から高い評価を受け、フレグランス界のオスカー賞といわれる「Interior Scent of the year」を受賞しました。
コンセプトによってパッケージデザインも異なる。洗練された上質な美しさをまとっている
「APOTHIA」のすべてのフレグランスにはコンセプトがあり、”Wave” 、“Bronzed” 、“Soul”等、ユニークな名前がつけられています。甘いフルーツ、彩り豊かな花々、凛としたグリーン、新鮮なシトラス……。どれも個性的な香りで、様々な感覚を呼び起こしてくれます。
「僕にとってフレグランスはアートなのです。香りは服と同じように自分自身を表現する手段だと思っている。なぜなら、人に会う時に、そのスタイルで自身を見せたいと思うでしょう。僕は“香り”を同じように捉えています。“香り”は自分がどんな経験をしたか、どのような価値観を持っているかを語ってくれる。嗅覚というのは、個人の記憶をよみがえらせることができるのです」
ロビンソンさんがロンハーマンのイメージを元にして数ヶ月かけて調香した「BLOOM」。ホワイトフラワー、バニラ、柑橘類のブレンドは、「花が咲く」という名前通り華やか。香りに包まれると不思議とポジティブなエネルギーに満たされる
この夏、ロンハーマンは「APOTHIA」と初のコラボレーションを試みました。その名は「BLOOM」。直訳すれば「花が咲く」という意味です。日本のストアにも幾度も足を運んだロビンソンさんが、ロンハーマンをイメージして調香してくれた世界でたった一つの香りです。
「カリフォルニアでも日本でも花の香りが漂う季節は素敵です。あちこちでとてもいい花の香りがして、心がひかれます。このネーミングは花が咲くだけではなく、私たち自身が日々咲くことを意味しているのです。僕はフレグランスを身につける人の記憶を引き出すように、いつも愛情を込めています。実際に香りを手に取って、それを感じてもらえたらうれしいです」
大切な思い出を探しに、ストアに足を運んでいただければ……。