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Ron Herman Journal

Issue 74Posted on Aug 04.2023

ジュエリーのように華やかに輝くマニキュアたち。上品なピンク、艶やかなレッドチェリー、ラグジュアリーなゴールド、クールなライトブルー、鮮やかなミモザ……。豊かな彩りに目を奪われてしまう数々のネイルポリッシュですが、ある秘密が……。何と主成分はジャガイモやキャッサバ、トウモロコシ、ココナッツオイルなど野菜や植物。天然成分由来のナチュラルコスメは今や珍しくありませんが、「ネイルでヴィーガン!?」と驚かれる方は多いでしょう。

 

「manucurist」( マニキュリスト) の創業者ガエル・ルブラ・ペルソナージュさん。母親がパリで営んでいたネイルサロンの名前を引き継ぎ、ファッションからネイルの世界へ転身した

 

ヴィーガンネイルの先駆けであるフランス発のネイルブランド「manucurist」( マニキュリスト) は、2016 年、ガエル・ルブラ・ペルソナージュさんによってスタートしました。「世界中の人々に安全でクリーンなマニキュアを届けて、ハッピーにしたかったのです。そのためには、爪や肌にダメージを与えること、環境に負荷をかけることは仕方ないというネイル業界のルールを壊す必要があったのです」と、ガエルさんは創業時のビジョンを語ります。

 

「manucurist」のネイルポリッシュ「green」シリーズは、最大84 パーセントが植物性由来の成分でつくられている。動物性製品や原料を一切使用せずヴィーガン協会からヴィーガン認定を受ける他、動物実験を行わないクルエルティフリーでもある

 

ガエルさんにとってマニキュアは「人生」そのもの。ガエルさんの母親はパリで初となるネイルサロンを営んでいました。幼いころからネイルの世界に接していたガエルさんは、常連客たちが従来のマニキュアに対する不満を口にすることを耳にしてきました。そして、ファミリービジネスの名を引き継いで新たに「manucurist」ブランドをスタートする際に、ネイルの世界に革新を起こそうと思ったのです。それがヴィーガンネイルでした。

 

コンセプトは明快でシンプルでしたが、実現には大きな壁と長い時間が必要でした。「マーケットにはそのようなネイルは存在していませんでしたから、ゼロからつくらなければなりませんでした。ある研究所に『ナチュラルなマニキュアをつくりたいんです』と相談しました。ですが『とんでもない。それは不可能ですよ」と断られてしまいました。結局、依頼を受けてくれたのですが、開発に何年もかかってしまいました。ネイルのプロにも受け入れられてもらうために、一切妥協をすることなく何度も試行錯誤をしました」。

 

「ネイルは感情の表現」と語るガエルさん。「その日のムードに合わせてカラーをチョイスして」

 

ヴィーガンでオーガニック、体にも環境にも安心で安全という「manucurist」の革新的なコンセプトが実現すると、瞬く間に世界中の人々に受け入れられました。現在はパリだけでなく、アメリカやイギリスにも拠点があります。また、多くのファッションブランドからも注目されて、ファッションウィークなどのショーでもコラボレーションしています。もちろん「manucurist」が人気の理由は「ナチュラル」であることですが、マニキュアの命である色彩の美しさも大きな魅力なのです。
 
ガエルさんはフランスの名だたるメゾンブランドでキャリアを積んできました。ファッションの世界に身を置いてきた経験と独自のセンスが「manucurist」のカラーコレクションにも生きているのです。「ファッションはインスピレーションですよね。そして、ムード。例えばいい気分なのか、沈んでいるのか。色は自分の感情を表すものなので、さまざまなムードに合わせられるように色をチョイスしています」
 
今シーズンのロンハーマンの別注カラー「Fire Opal」(ファイアオパール)と「Amethyst」(アメジスト)。クリアなのでベースのカラーによってさまざまな表情が楽しめる。重ね塗りすることで色合いを深めることも
 
ロンハーマンでは、今シーズン「manucurist」に2 色のネイルポリッシュを別注しました。どちらも「Fire Opal」(ファイアオパール)と「Amethyst」(アメジスト)という宝石の名前を冠しています。「トレンドを先取りしている色ですよ。今ヨーロッパでは、グロッシーで透明感のある色味が大流行しているんです。今回のコラボのプロジェクトに取り組んでいたときは、まだマーケットにはありませんでしたが。爪をマニキュアで覆ってしまうのではなくて、自然本来の色を輝かせることができます。とてもアバンギャルドで、私もすごく気に入っています」
 

 「green」シリーズ以外にも、太陽光で硬化する速乾性のあるトップコートやアセトンフリーの植物性由来100 パーセントのネイルリムーバーなども「manucurist」の人気アイテム。ハンドクリームやバームなどのケア用品もすべて植物由来で有害成分不使用

  

ガエルさんにとって、マニキュアやコスメはコミュニケーションのツールでもあるそう。「『そのネイルいいわね』、『手にもやさしいのよ』とか、そのような会話のやり取りが大好きなんです。自分だけでなく他人とも共有できるというところが楽しいですよね。ぜひ『manucurist』の感想も聞かせてください」。最後に「manucurist」のネイルで一番のお気に入りのカラーをうかがうと「とても一つを選ぶことなんてできないわ。だって、どれも自分の子どもみたいなものだから」と、どこまでもマニキュア愛にあふれるガエルさんでした。
 

パリジェンヌらしいエスプリが効いた話をするガエルさん。言葉の節々からマニキュアへ対する深い愛情が感じられる 

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