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extreme cashmere

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Ron Herman Journal

Issue 59Posted on Jan 17.2023

魔法のような服——年齢や体型を問わずジェンダーレスで着こなすことができる。カジュアルでもフォーマルでもシーンを選ぶことなく、どんなワードローブにも馴染む。流行に左右されずにタイムレスに楽しむことができて、もちろん着心地も最高。しかも、ケアも簡単で丈夫で長持ち。そして、何よりも着ているだけで、ハッピーな気分に。まるで魔法の国の夢のような一着。それがオランダ発のニットウェアブランド「extreme cashmere」(エクストリーム カシミア)なのです。



2016年、オランダでサスキア・ダイクストラさんによって誕生した「extreme cashmere」。名前の通りモンゴル産の極上のカシミアを使用してニットに。“for everybody and every body”というコンセプトを掲げて、年齢、体型、性別を問わずフィットするデザインを追求


「extreme cashmere」は、2016年、サスキア・ダイクストラさんによってアムステルダムでスタートしました。サスキアさんは20年以上にわたり、海外のウエアメーカーでニットウエアデザイナーとして活躍。著名なハイブランドやメゾンのカシミアのニットを手がけてきたカシミアのエキスパート。「カシミアはとにかくとてもピュアなの。着心地といい、肌触りといい、着ていて最高だと思えるわ。私にとって、これ以外の素材はありえません」と、その並々ならないカシミア愛を口にします。

ファッションの世界で順風満帆なキャリアを歩んでいたサスキアさんでしたが、自分の仕事に疑問も感じていました。「会社はコストばかり気にしていて……。私がつくりたいカシミアウエアのコンセプトとは大きく異なっていたの。私が求めていたのは “ no limits no concessions ”(一切の制限や譲歩がないもの)。素材にこだわりながら、着る人の性別や体型、年齢にとらわれず、すべての人が楽しめるニットだったのです」



どのモデルもワンサイズで展開。それぞれの個性や体型に合わせて、ジェンダーを超えて自由なアイデアで自由なスタイリングで楽しむことができる。洗濯機で洗うこともできて、耐久性も高く「一生もの」のニットに


ですが、サスキアさんのコンセプトに対して、周りの反応は冷ややかでした。コストがかかりすぎる。プライスも高すぎる。決して成功はしない。そこでサスキアさんは、自分が理想とする一枚のセーターをつくりました。そして、家に持ち帰り、家族に着てもらったところ……。「同じサイズなのに、大柄な父にも小柄な母にも年齢に関係なくとてもよく似合っていたの。その時に、誰もが身に着けることができるニットは実現できると確信したわ」

「extreme cashmere」の誕生です。一つのモデルはワンサイズのみ。フィット感を楽しんだり、ロールアップしたり、自分で好きなようにサイズ調整をしたり、自由なスタイルで楽しめると、評判に。ジェンダーや国境、年齢を超えて、ファッション好きに受け入れられていきました。「最初はまず一つのセーターを100枚つくって販売することから始めました。そんなのブランドとして成立しませんよね。ですが、徐々に階段を上るように成長していきました。本当にラッキーだったわ」。その初めてつくったセーターこそロンハーマンでももちろん、世界中から愛される「crew hop」(クルーホップ)モデルです。



ブランドの人気とともに、チームも増えて現在は20名に。若いスタッフが多く、斬新で柔軟なアイデアが「extreme cashmere」の魅力を高めていく。「まったく制限がないというところに大きな可能性があるんです」と、スタッフの一人


「extreme cashmere」の人気を支えているのが若いスタッフたち。当初はサスキアともう一人のパートナーで始まりましたが、今ではチームは20名にも。「みんなとても柔軟、とてもクリエイティビティにあふれているの」と言うサスキアさんの言葉に、スタッフの一人がこたえます。「『extreme cashmere』には無限の可能性があるように思えるんです。とにかくジェンダー、年齢、職業に関係なく誰でもがこのウエアを楽しむことができるところが、すばらしいと思っています。パワーがあり、クリエイティブな活動がいろいろできて、たくさんの実験的なことができるところも素晴らしいですね。自分たち自身がこの仕事を始めた時に持っていたコアヴァリュー(最も重要な価値観)を失わずに成長していきたいです」



千駄ヶ谷店では、1月22日(日)までポップアップストアを展開。「extreme cashmere」の世界観を体感することができる



長年サスキアさんが温めていたアイデア、コットンカシミアが、この春夏ロンハーマンに登場。「季節によってカシミアがフィットしない国もあります。ですが、コットンカシミアなら、暑い夏も快適に過ごすことができるんです」。Tシャツ、タンクトップ、パンツ、フリンジスカート、ドレスにメッシュアイテムも加わり、幅広いレイヤリングが楽しめる


この春夏、「extreme cashmere」の新しい試みとして、コットンカシミアがひと足早くロンハーマンからローンチされます。何度も改良を重ねて誕生したこだわりの素材。コットンを混合することでより気軽にシーズンレスで着られるようになりました。カジュアルなタンクトップやTシャツからフォーマルなドレスまで展開して、より自由な発想でファッションが楽しめます。まさに「extreme cashmere」のフィロソフィーを体現しているといってもいいでしょう。

「若い女の子たちがクラブで踊りに行くときだって着ることができる。ゆったりと過ごしたい日曜日や高級なレストランでもぴったり。こんなにすべてのシーンにフィットするウエアはないと思います」とサスキアさん。「もし『extreme cashmere』よりいいカシミアがあったら、本当に教えてください。正直が一番ですからね」と、ウィットを込めて微笑みます。



「気持ちがブルーになったとき、ぜひ『extreme cashmere』のニットを着てください。あなたがニットをケアするように、ニットはあなたをケアしてくれるはず」と、サスキアさん


extreme cashmere

2016年にオランダ・アムステルダムで誕生したニットウエアブランド、extreme cashmere(エクストリーム カシミア)。モンゴル産カシミアの滑らかでラグジュアリーな質感と、流行に左右されないタイムレスなデザインを展開。どれもクラシックなデザインでフリーサイズのみの展開となっており、体型や性別を問わず、どんな人にも似合う着こなしを実現している。

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