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R.H. Vintage

R.H. Vintage

Ron Herman Journal

Issue 02Posted on Aug 27.2020

ヴィンテージウエアは“旅“をしています。過去から今へ……。時間の流れに負けることなく、魅力を増し、新たなる輝きを放つ。それは服の循環と言い換えていいかもしれません。

1990 年代、ロサンゼルスにあるロンハーマンのメルローズ本店では、古着好きのオーナー、ロンによってカスタムヴィンテージのラインが展開されていました。貴重なヴィンテージウエアをスタッズでカスタマイズするなどして、不定期にリリースしていたのです。ほとんどが一点ものだったため、ファッション好きからは“幻”といわれ、大きな人気を呼んでいました。

ヴィンテージ・デニムジャケットをスタッズ職人がカスタマイズ。
初めてこれを目にした「R.H. Vintage」のデザイナーは、大胆かつ美しいデザインに鳥肌が立つほどに感動した

2009 年、ロンハーマンの日本への初出店に際して、ロンはあるアイデアを思いつきました。日本の卓越した生産技術なら、デニムやコーデュロイ、ダンガリーシャツなどのヴィンテージウエアを、現在に蘇らせられるのではないか。そうすれば、もっと多くの人にヴィンテージウエアを楽しんでもらえる。それが今日の「R.H. Vintage」のスタートでした。

数十年の時を経て、クローゼットやガレージ、お店の片隅で誰かに発見される。そこから、新たな持ち主とともに、新しい服の命が始まる。そして、またいつか、違う人に引き継がれていく……。そんな服の旅、循環の物語を想像して、私たちは「R.H. Vintage」の服作りをしています。

1990 年代、メルローズ本店て展開されていたヴィンテーシのテニムパンツ。
当時のヴィンテーシラインは、ロンのセンスでカスタマイズされた一点もののアイテムがほとんどで、“幻“といわれてカリスマ的な人気を呼んでいた

「R.H. Vintage」は、決してヴィンテージウエアのリメイクやレプリカではありません。「ファッションとは愛にあふれ、刺激的で楽しく、自由であるべきだ」というロンのファッション哲学にもとづいて、ロンハーマンらしい楽しさやこだわり、遊び心を込めてブラッシュアップしているのです。歴代の「R.H. Vintage」のアイテムには、誰も気づかないようなギミックが施されてきました。例えば、ブラックライトだけに反応する染料でデザインをしたり(おそらく、着ている方も気づいていないかもしれません)、誰かが長年愛用したからできた“痕” をいれたり……。ヴィンテージウエアにインスパイアされてはいますが、ロンの哲学を宿したオリジナルなアイテムなのです。

吟味してセレクトしたチェコスロバキア製のラインストーンで、オリジナルのパッチをデザイン。
「R.H. Vintage」のラインでも、プレミアムなアイテムのみに付けられる。それ自体がアートワークとして個性を発揮する

11 年前の「R.H. Vintage」のデニムや服を、長年履き込んだり着込んだりして、経年変化を楽しんでいるという方は少なくありません。あまりにも着すぎて少々汚れてしまった。それでも、本当に好きで思い入れがあるから、自分で染め直して着ている。そんな声が届くと、「R.H. Vintage」がみなさんの人生とともに歩んでいるんだな、とうれしく思います。これからも、「R.H. Vintage」は、未来に向かって旅をしていきます。

「R.H. Vintage」の服作りのインスピレーションの源は“循環”。
時と場所を超えて、多くの方に愛され引き継がれていくことで、真のヴィンテージウエアに生まれ変わる

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