Journal

-Meets Your Artist-Jonas Claesson

-Meets Your Artist-Jonas Claesson

Ron Herman Journal

Issue 99Posted on Aug 16.2024

クマやヘラジカ、コアラやペンギンが、楽しげにサーフィンをしたり、ビーチで心地よさげに海水浴をしたり......。そのピュアでハッピーな動物たちの姿に、子どもたちはもちろん大人たちも、思わずほほ笑んでしまうJonas Claesson(ジョナス・クレアッソン)さんが生み出すアートピース。この夏、ロンハーマンでは、ジョナスさんのエキシビションを開催。また、作品をキッズウエアに落とし込んで、その魅力を多くの方にお伝えします。ジョナスさんとはどのようなアーティストなのでしょうか。お話をうかがってみましょう。

 

2002年、22歳で母国ノルウェーからオーストラリアに移り住んだJonas Claesson(ジョナス・クレアッソン)さん。現在はシドニー近郊の閑静なエリアで暮らす。家族とのひと時がクリエイションにも大きな影響を与えている

 

——ジョナスさん、どうぞよろしくお願いいたします。早速ですが、現在のライフスタイルを教えていただけますか。

 

今、シドニー郊外のノーザンビーチという所に住んでいます。家族は妻と2歳の息子との3人暮らし。それほど大きくはありませんが、とても感じのいいビーチがあって、だいたいどの家もビーチまで歩ける距離にあります。ローカルたちが仲良くサーフィンを楽しんでいます。サーフィンをするのにベストな場所とはいえませんが、とてもリラックスできる土地です。多くはないですが、おしゃれなバーやレストランもあって、シドニー市内まではフェリーで行くこともできるんですよ。

 

——とても、のんびりとした暮らしのようですね。

 

息子がとても早起きなので、ウイークデイは私も早く起きます。朝食を一緒に食べて、彼を保育園に送っていきます。波が良ければその後すぐにサーフィンに出かけたり、仕事をしたり。いずれにしても波のコンディションを見つつ、一日に一回はサーフィンをしますね。今朝も海へ行って、30分前に家に帰ってきたところです(笑)。海から戻ってきたら、「グラニーフラット」といういわゆる「離れ」のスタジオで仕事をします。メールの返信やらなにやらをしつつ、デザインを描く、というような日々ですね。夕方には息子を迎えに行って、ディナーをつくり、合間に息子と自転車で出かけたり、ビーチで遊んだり……。早寝早起きの毎日ですよ(笑)。

 

 夏休みにあわせてジョナスさんのエキシビジョン『WHALE TALES』が、ロンハーマン千駄ヶ谷店で開催されている。今回のテーマは「モノクローム」。白と黒という最もシンプルな色彩で、独自の世界観を表現している

 

——もともとのご出身は、スウェーデンですよね。

 

はい。ストックホルムの郊外で育ちました。とても海に近い地域ですが、海といっても多くの島が点在する穏やかな内海のイメージです。夏は涼しくて過ごしやすいですが、冬はとても寒いです。冬はスキーなどスノースポーツが盛んで、夏はセーリングやスイミングなどを楽しめます。ですが、とにかく内陸の海なので波がなくサーフィンには向いていないので、サーファーも少なくて私も子供のころに波乗りはしていません。何しろ水温が5度から10度くらいと冷たいですから、グローブも必要ですし完全防備でなければとてもサーフィンはできません。でも自然に囲まれて育ちましたから、週末はキャンプやハイキングなどを楽しめました。

 

——そのような環境で、どうしてサーフィンにのめり込んだのですか。

 

スウェーデンでは、思春期になると英会話の勉強のために夏休みに英語を母国語とする国に行くことがあります。私の場合は15歳で、ガーンジー島(英国領、イギリス海峡のチャンネル諸島に位置)に行きました。そこでまずはボディボードから始めて、サーフィンをしたくてサーフスクールに入り、それでハマってしまいました。すっかりサーフィンに魅せられて、スウェーデンでもサーフィンを始めましたが、その後ヨーロッパの多くの国にサーフトリップに出かけました。

 

 エキシビジョン初日には子ども向けのワークショップも開催。子どもたちの笑い声があふれる時間に。終了後には特別にジョナスさんのアートワークでデコレーションしたパンケーキが登場して、さらに子どもたちは笑顔に

 

——アーティストを志したきっかけを教えてください。

 

小さなころから絵を描くことが大好きでした。大学では通常の授業以外の特別なアートクラスで授業を受けました。その後アーティストとしてキャリアを始めましたが、サーフアパレルのデザイナーとして働いている時に、インスタグラムでさほど意識的にではありませんでしたが、自分の作品をアップするようになったんです。すると、いくつかの仕事のオファーが来て、少しですが収入も得られるようになりました。そこで、もしかするとデザイナーとして独立できるかもしれない、と思ったんです。かなり時間はかかりましたが、少しずつデザイナーとしてのキャリアを積み上げていくようになりました。このようにデザイナーとしてのキャリアを確立できていることに、感謝しています。

 

——アーティストとしてのターニングポイントは何でしたか。

 

一番大きなターニングポイントは、『The Surfing Animals Alphabet Book』という本を出版したことです。すぐにアメリカの大手サーフィン雑誌で取り上げてくれて、そちらのサイトで宣伝してくれたんです。それがきっかけで一気に知れわたるようになりました。当時、私はガールフレンドとアメリカでロードトリップしていて、それをSNSにポストしていたのですが、その本を私が描いたということでも話題となり、口コミでどんどん広がっていきました。自分としては、そんなに大きなことになるなんて考えてもいなくて、ただただ楽しいな、と思って描いて出版しただけですがね。そんなに売れるとは思ってもいませんでしたから、すごくうれしかったです。

 

 ジョナスさんファミリーのホームビーチはパームビーチ。地元の家族に愛され、ハッピーでピースフルな空気が漂う

 

——ジョナスさんが描かれる動物たちは、本当にハッピーな感じですね。インスピレーションはどのようにわいてくるのですか。

 

動物が大好きなんですよ。私が初めて動物をモチーフにしたのは、スケートボードをするクマでした。10年から12年くらい前かな。これまで多分1000くらいの動物を描いてきましたよ。しかも今住んでいる環境はサーフカルチャーに囲まれていているんです。日々、海やサーファー、サーフボードやそれをクルマや自転車に積んで海に向かう人たち、サーファーの揺れる髪、ビーチでリラックスしているシーンが、目に入ってくるんです。そして、それが動物と結びついていく。私がやりたいこと、私がそのアクションの一部になりたいものにインスパイヤされています。例えば、キャンプをイメージした絵を描きたいと思ったら、自分自身がキャンプに身を置き、体験したいこと、それを絵にするのです。

 

 エキシビジョンのアートワークは、ロンハーマンキッズのアイテムとしてお目見え。「このプロジェクト自体が私にとっては夢であり、それが現実になった瞬間です」とジョナスさん

 

——今回のロンハーマンでのエキシビションのコンセプトはなんでしょうか。

 

テーマはブラック&ホワイトです。私が描いたイメージの中の白と黒。それは友達や家族と過ごすひと時からインスパイヤされたものを捉えたものです。当たり前な日常を楽しめることに感謝する気持ちを込めて描きました。平和と家族や友達と過ごせる今のこの瞬間を、楽しんで感謝してほしいということを表現したいです。

 

——ロンハーマンキッズとのコラボレーションについての感想は。

 

すごくいいと思います。それにブラック&ホワイトにというのがとてもいいアイデアだと思いました。普段はほとんどコンピューター、iPadやフォトショップでデザインを描きます。ですが、今回のキッズとのコラボの作品は、机に向かって座り、ペンで紙に手書きで描くという絵画の本来の姿でデザインを描くことができて、とても楽しかったです。何よりもロンハーマンとともにビッグプロジェクトができて、とてもうれしいです。昨年、千駄ヶ谷のショップにお邪魔しましたが、その時に拝見した製品のディスプレイの仕方がとてもすばらしくて、その時に思ったのです。私は家族や友達と過ごすシンプルな楽しいひと時を描きたいと。

 

 サーフィンはジョナスさんにとって、インスピレーションの源の一つ。エキシビジョンのメインビジュアルは、ナイトサーフィンでサーフボードから見上げた際の、南太平洋の星空を描いた

 

——ジョナスさんにとってアートとは。

 

本当に大きな意味があります。アートは私を幸せにしてくれました。心から感謝しています。私が描きたいものを描く、それを人々が認めてくれて喜んでくれる。それによって生活できる。これはもう驚きでしかありません。私がここオーストラリアでデザインして描いたものが、海を越えて日本のロンハーマンに届き、お客様の手元に届く、本当にすごいとしかいいようがありませんよ。

 

 身につけるだけでワクワクするジョナスさんとのコラボアイテム。今回登場する動物はクジラやクマが主役だが、ジョナスさんの一番好きな動物はヘラジカ。「育ったストックホルムの家の窓からヘラジカが見えたんですよ」。動物を描くきっかけになったエピソードを教えてくれた

 

——最後にロンハーマンのお客様へメッセージをいただけますか。

 

私のアート作品を見てくださり、喜んでいただけるのであれば、それは私にとっては最高の幸せで、感謝しかありません。私が作品をつくり出す時はひたすら楽しくてうれしいので、それをお客様も感じていただき、お客様も楽しんでいただきたい。子どもたちにもほほえんでいただきたいです。私が子供のころにスウェーデンで絵を描き始めたころのあの喜びを今も思い出します。そんな喜びをお客様にも感じていただけることが、本当にうれしく思います。

 

——ジョナスさん、どうも、ありがとうございました。

 

 「アーティストとして生計を立てることができて、本当にラッキーだと思っています。今後はスケールの大きな作品をつくってみたいと思っています。大きなキャンバスに直接描いてみたいですね」

 

Profile

ジョナス・クレアッソン Jonas Claesson

 

アーティスト、イラストレーター。スウェーデン、ストックホルム出身。現在は家族でオーストラリア、シドニー近郊で暮らして、制作活動を続ける。日本、ハワイ、イギリスなど世界中のギャラリーで展示を行い、人気を集める。

 

 

Latest Issue

Back to Index