Journal

Lemon Cake.

Lemon Cake.

Ron Herman Journal

Issue 121CafePosted on Mar 19.2026

本物のレモンのようにかわいらしい形をしたケーキ。口元に近づけると、爽やかな香りがふわりと漂います。頬張ると、思わず笑みが。凛としたほど良い酸味の後に、自然な甘みが口に広がります。さっくりしっとりしたケーキは、素材を吟味したシンプルなおいしさ。その味わいを引き立てるのが表面にかかったアイシング。フレッシュなレモン果汁がたっぷりと使われています。

10年前に今のレモン型になってから、多くのお客様にリピートされている「レモンケーキ」。パッケージも変わらぬまま、ロンハーマン カフェに欠かせない定番スイーツとして親しまれている

ロンハーマン カフェ創業以来のシグネチャースイーツが「レモンケーキ」です。アップデートを繰り返しながら、10年前、今のレモン型にたどりつき、多くのお客様に愛され続けています。自分で楽しむのはもちろん、「レモンケーキなら間違いなし」と大切な方へのギフトとしても人気を呼んでいます。素材選びにこだわり、自然な味わいを大切にしているので、お子様からご高齢の方まで幅広く楽しんでいただけます。

旬の冬から春にかけて、伯方島のレモン生産者からロンハーマン カフェにレモンが直送される。みずみずしく、香りも高い。一つ一つていねいに搾って、レモンケーキのアイシングに。キッチンが爽やかな香りで満たされる

「最近、レモンケーキがさらにおいしくなったのでは」。リピーターのお客様から、このような感想を耳にすることがあります。私たちスタッフとしてはうれしいばかり。そう、この冬、ロンハーマン カフェは素敵な出会いがあったのです。瀬戸内の伯方島でレモンを栽培しているレモン生産者との巡り合い。有機肥料にこだわり、ノーワックス、防腐剤は不使用。そのレモンの素晴らしいこと! 艶やかでキメも細やか。爽快感にあふれながらもやさしい香り立ち。ぜひ、レモンケーキに使わせてもらいたい。そんな私たちの希望がかなったのです。

古くから製塩業や海運・造船業で栄え、「塩の島」としても知られてきた伯方島。温暖な気候に恵まれて、島に暮らす方々ものんびりと温かだ

このとっておきのレモンは、どのようにして育てられているのでしょうか。伯方島を訪ねてみましょう。穏やかな海に太陽の光が滑らかに輝く瀬戸内。大小の島々が浮かび、山並みのような美しい景色が広がっています。愛媛県今治市に属する伯方島は、自転車で1時間ほどで一周できる小さな島です。レモン栽培を手がけるのは苅田尋正さんと小鈴さんのご夫婦。苅田さんの果樹園は、海を見下ろす小高い丘に広がっています。

伯方島で父親の代から柑橘栽培を営む苅田尋正さんと奥様の小鈴さん。お二人とも島のご出身。「伯方島はのんびりしていて人もいいですよ」とご夫婦。ロンハーマン カフェの統括料理長が今治出身で苅田家族と縁があり、この取り組みにつながった

「瀬戸内は、晴れの日が多く温暖な気候なので、柑橘類の栽培に向いています」と、苅田さんはご自慢のレモンを手に笑います。太陽の光をふんだんに浴びた木々の葉は色濃く、レモンがたわわに実っています。収穫は冬場ですが、年間を通して農作業をしなければなりません。果樹園の面積は500坪以上、8種類ほどの柑橘類を、二人きりで育てているのです。手作業ですから、その手間暇と大変さは想像に難くありません。ですが、「泥まみれ、汗まみれ。真夏の炎天下での作業はきつい」と、さらりと口にします。

地元の人々から「たんぼえ」と親しみを込めて呼ばれてきた小高い丘に、苅田さんの果樹園がある。レモンの木は100本ほど、他に愛媛県オリジナル品種のブランドみかん「甘平」(かんぺい)や「 紅まどんな」を育てる

ただでさえ、手がかかるレモン栽培ですが、苅田さんは化学肥料ではなく有機肥料にこだわります。堆肥や鶏糞を与え、山の落ち葉を混ぜて、土壌を豊かにするのです。また農薬も可能な限り最低限しか使いません。手間を惜しまずに、自然栽培を追求するのには理由があります。「うちは野菜もつくっていますが、自分の家族で食べるものは、なるべく化学肥料は使いたくない。農薬も最低限。自分たちも孫たちにも安全なものを食べさせたいんです」と、小鈴さん。苅田さんが育てるレモンには、家族と同じようにレモンを口にする人を想う気持ちが込められています。

伯方島を始め瀬戸内海の島々に暮らす住人は、1999年、島を橋で結ぶ「しまなみ海道」が開通するまでフェリーで往来していた。アクセスは良くなったが、現在、伯方島の人口は往時の1万1千人から半減。柑橘の生産家も減ってしまったが、苅田さんの果樹園は島に暮らす長男が後を継ぐ意欲を燃やしているという

レモンは、とても繊細な植物です。その生育は天候に大きく左右されます。特に大敵なのが「寒さ」。温暖な伯方島とはいえ、寒波に見舞われることも。10年ほど前には雪が積もり全滅してしまったこともあったそう。成長には個体差があり、実の大きさもまばら。皮がやわらかく傷もつきやすいのです。サイズや見た目が「正品」の規定に合わないレモンは、「B品」となり出荷できないことも。中身は同じなのに見た目で判断されてしまう。手塩にかけて育ててきた苅田さんにとっては悲しいことです。それなら、ロンハーマン カフェで使わせていただけないか。何せ味も安全性も折り紙付き。生産者もお客様もハッピーに、フードロスの観点でもプラスになります。

今治市に暮らす苅田さんの末娘が、「伯方島の豊かさを広めたい」と商品開発やネットでの産直の手伝いをしている。娘さんのお子さんたちにとっては、果樹園は庭のような遊び場。みかんをおいしそうに頬張る孫たちに、苅田夫婦は目を細めていた

「ロンハーマン カフェからのお話は、素直にうれしかったです。お客様のためにも、いいレモンを育てていきたいです」と、小鈴さん。伯方島の柑橘生産者は年々減っていて、苅田さんのお住まいのエリアでは10軒ほど。最盛期の5分の1までになっています。若者の農業離れ、後継者の不足が主な原因です。今後、ロンハーマン カフェでは伯方島のレモンを、ケーキだけではなくさまざまなメニューに活用していきたいと考えています。私たちの取り組みが、島の生産者に光を当てる一助になれば。「皆さんも伯方島に遊びにきてください」と、手を振る苅田夫妻。レモンケーキを味わって、島に想いを馳せていただけたら。そこには伯方島の自然と人のぬくもり、二人のレモンにかける愛情が詰まっています。

大切な方へのギフトとして、ぜひ。皆さんに満足いただけるロンハーマン カフェ自信のスイーツです


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