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Ron Herman Journal

Issue 95Posted on May 24.2024

この春夏、ロンハーマンに登場するウィメンズのアクティブウエアは、上質感を漂わさせながらも見た目も軽やか。驚くほど伸縮性に富み肌触りもやわらかで、着心地の良さを実現。撥水性にもすぐれているので、ちょっとした雨も大丈夫。これからのシーズン、キャンプなどのアウトドアシーンや音楽フェスティバルはもちろん、梅雨空や水際などでも活躍してくれることでしょう。外に出かけるのが楽しくなる一着、それがロンハーマンが「NetPlus®」(ネットプラス)とともに手がけたオリジナルのリサイクルナイロンの服です。



今シーズン、ロンハーマンウィメンズのアクティブウエアは「NetPlus®」(ネットプラス)のリサイクルナイロンを使用。廃棄された漁網を原料としながらもバージンナイロンと同等の品質


NetPlus®のリサイクルナイロンは、元をたどっていくと海の中にいきつきます。フィッシングネット、漁業で使用されなくなり廃棄された漁網が原料なのです。「全世界で毎年多くの廃プラスチックが海へ流出して、海洋生物の生命を奪ったり、環境へ大きなダメージを与えている。その多くがずさんに廃棄された漁網なんだ」と、口をそろえるのがNetPlus®をスタートさせたベン・ネッパーズさん、デイヴィッド・ストーヴァーさんとケビン・エーハーンさんの3人です。



NetPlus®を手がける「BUREO」(ブレオ社)の共同創始者ベン・ネッパーズさん(左)とケビン・エーハーンさん。もう一人の創業者デイヴィッド・ストーヴァーさんとともに皆、サーファー。海への環境被害をもたらす廃漁網の流出に長年心を痛めてきた


アメリカ生まれの彼らは、海の近くで生まれ育ったサーファー。出身地もバックグラウンドも異なりますが、サーフィンという共通項で友情を深めていました。「海への愛と波乗りへの情熱から、環境問題について日ごろから気にかけていた。どうしたら海をきれいにできるのか、自然環境を守れるのかと、顔を合わせるたびに熱心に話し合ってきたよ」。やがて、ベンさんは仕事でチリにおもむくことに。それが3人がずっと気がかりだったことを解決する糸口に。そして、その後の人生を変えることにもなったのです。



チリでスタートしたNetPlus®のプログラムだが、コミュニティの理解が不可欠だった。地元の漁業者とともに捨てられた漁網の回収に汗を流すベンさん


ライフサイクルアセスメント(製品やサービスが環境に与える影響を、原材料の採取から廃棄まで評価して、環境負荷を減らすための改善点を見つける方法)の専門家であったベンさんは、現地でサステナビリティのコンサルティングに携わり、さまざまな産業の廃棄物を研究しました。そこで海岸に放置された廃漁網の存在に気づいたのです。「漁師たちは漁網をどのように廃棄したらいいか知識がなかった。廃漁網をリサイクルできれば、コミュニティに社会的、環境的な利益をもたらせる。そして、海洋のプラスチックを減らすことにもつながる」。



今の季節にぴったりなライトイエローとベージュのライトトーンとともに、落ち着いたカラーのネイビーとアクセントとなるブルーの4色を展開。さまざまなコーディネーションが楽しめる


デイヴィッドさんは金融ビジネス、ケビンさんにはエンジニアリングのバックグラウンドが。3人は独自のスキルを結集してチームを結成、アイデアを実現させるために2013年「BUREO」(ブレオ社)を立ち上げたのです。ベンチャー企業を支援する団体などから資金援助を受け、漁業コミュニティに回収ポイントを設置し政府機関や保護団体と連携して、廃漁網を回収するNetPlus®プログラムをスタート。ですが、当初は決して順調とはいえませんでした。「漁師小屋のドアをノックして、片言のスペイン語で役に立たなくなった漁網を引き取ると提案していった。彼らの負担が減ると説明したけど、顔には好奇心と懐疑心が浮かんでいた。処分が面倒だから、廃漁網を提供することには前向きだったけど」。



オリジナルの生地で目指したのは、毎日でも着たくなるような軽くて快適な着心地の良さ。上下左右に伸縮するフォーウエイ機能と環境にやさしい「C-zero撥水」を採用。タグのQRコードから、NetPlus®のバックグラウンドや取り組みを掲載した特設ページにリンクできる


ですが、翌年大きな突破口が訪れます。「廃漁網からリサイクルされたBUREOの最初のプロダクト、スケートボードが完成したんだ。それを目にした漁師たちの興奮といったら。彼らはNetPlus®のプログラムに誇りを持つようになって、自分たちの廃漁網に価値があることがわかり始めた。で、他の漁師たちも次々と参加を希望するようになったんだ」。それ以降、ベンさんは奥さんとともに、海沿いの小さなキャビンで2年以上も暮らしました。漁業者との地道なコミュニケーションが密接な結びつきを生み、NetPlus®への信頼を勝ち取っていったのです。



アクティブウエアながら着こなしによって街にもしっくりと溶け込む。シームレスに楽しめるのも魅力の一つ


「当初は自分たちでプロダクトを製造していたけど、それはNetPlus®素材の品質と耐久性の証明だった。NetPlus®のリサイクル素材を多くの企業に提供することで、より大きな影響を与えられると気づき始めたのさ」。2020年から大手のアウトドアメーカーとコラボレーションしたことをきっかけに、多くの国、企業で受け入れられるようになっていきました。今年、ロンハーマンも初めてNetPlus®を採用しました。「ロンハーマンのような志を同じくするパートナーを通じて、NetPlus®を広めていきたい。ビーチの近くで育った僕たちは、海との深い絆を育んだ。波乗りは情熱であると同時に、海洋の多くの課題に対する意識を高め、保護する責任を持たせる教師なのさ。僕たちは、将来の世代のために世界をより良くするために、自分たちの役割を果たしていく」



チリの小さな漁村で始まったNetPlus®︎のプログラムだが、今年以降、日本でもスタートして、9か国に展開。サーファー3人の純粋な思いが世界に伝わっていく


ジャケット、ジャンパードレス、カーゴパンツにカーゴスカート。「かわいい」、「とても、素敵!」。まずはそんな感想とともに、ロンハーマンのアクティブウエアを手にとっていただけたら。そこから3人のサーファーの思いを、私たちとともに感じとっていただき、世界へ広げていくことができたら幸いです。

 

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