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JAPANESE CERAMIC

JAPANESE CERAMIC

Ron Herman Journal

Issue 130Posted on Oct 23.2026

ファッションはライフスタイルそのものである。ロンハーマンが創業して以来、大切にしてきた想いです。服や靴、ジュエリーはもちろん、日々の生活に欠かせないリビングアイテムも、私たちはファッションの一部であると考えています。特に力を入れているアイテムの一つが「器」です。食事はもちろん、ティータイムやカクテルタイムなど、毎日の暮らしに欠かせず、そして、彩りを添えてくれます。テーブルやイスのように、長年愛用することができながら、その日の気分、料理やシーンによって気軽に使い分けることができます。日々の暮らしに寄り添いながら、自由に楽しめる魅力は、ファッションアイテムと相通じます。


日本の陶芸界に新風を吹き込む人気作家13人とロンハーマンがコラボレーション。「マグ」と「白」というテーマのもと自由に作陶をしてもらった。亀田大介さんは、奥様の文さんとともに大分県別府にて制作活動を行っている。洗練された白釉の趣はヨーロッパのアンティークを彷彿とさせる(写真左)。河合竜彦さんは“白”をコンセプトに岐阜県で作陶。今回はロンハーマン千駄ヶ谷店のアイコンでもあるアイビーをモチーフにして絵付けをした(写真中央)。吉田直嗣さんは富士山の麓、静岡県御殿場に窯を構える。光を透過するほど薄い白磁は、使っていて心地よい緊張感をもたらす(写真右)


今シーズン、私たちがキュレーションに力を入れたのは、日本の陶芸作家による器です。今、カリフォルニアはもちろんヨーロッパでも、日本の器が新たな視点から脚光を浴びています。近代以降、民藝など日本の伝統的な手仕事は、海外のアーティストたちに注目されて西洋の美意識と融合しながら、世界のモダンデザインに影響を与えてきました。その潮流を受け継ぎながら、次世代の陶芸作家たちが、自分たちのセンスで自由にクリエイションをしているのです。


コーヒーカップとしてだけではなく、花入やスープカップなど自由な発想で楽しめるのがマグの魅力。照井壮さんは、陶芸の街として知られる有田出身。上品であたたかみのある白の発色が人気。今回は差し色として、ロンハーマンのシグネチャーカラーのネイビーをあしらった(写真左)。三浦ナオコさんは岐阜県多治見で作陶を行う。アンティークを思わせるフォルムと釉薬が特徴。乳白色と貫入(ひび割れ)の2種類のマグがお目見え(写真中央)。八田亨さんは、大阪にて伝統的な穴窯での作陶にこだわる。薪で焼成することにより、同じ釉薬を使いながらも表情が多彩になる(写真右)


多くの窯元は、分業制のため、複数の職人たちの手によって器が完成します。ですが、陶芸作家たちは、器の原点である土選びはもちろん、土をこね、ろくろをひき、釉薬をかけて、窯で焼き上げる、という一連の器づくりをすべて一人でこなします。ファッションの世界にたとえるなら、窯元がファクトリーブランド、陶芸作家はデザイナーズブランドと言えるでしょう。どちらも持ち味はありますが、作家の器はつくり手の個性が強く反映されます。その多様性と多彩さが大きな魅力となり、海外から評価を受けているのです。


「炎の芸術」と呼ばれる器。陶芸作家が窯にかける情熱はひとしお。念入りに算段して焼成するが、ときには予想外の焼き上がりになることも。思いがけない景色との出会いも、一期一会の楽しみ


どんな器をキュレーションしようか。せっかくだったら、ロンハーマンを象徴するような器を、陶芸作家の方々につくっていただきたい。そこで、私たちがセレクトしたのは“マグ”でした。毎日のように、家庭でもオフィスでも手軽に使用できる。シーンレス、タイムレスに、生活に寄り添ってくれる。そして、長年愛用することで親しみもわいてくる……。特別な器ではなく、日常の器。きっと、お客様にも気軽に手に取ってもらえるのでは。さらにロンハーマンのフィルターを通して、ワクワクするようなコレクションにしたい。そして、思いついたアイデアが、“白”で仕上げてもらうことでした。白いキャンバスのように、使う人自身のライフスタイルをそこに描いていただけるのでは。白という無個性な色だけに、作家の皆さんの個性がより浮き彫りになり刺激的になるのでは。そのような想いのもと、13人の陶芸作家の方々に、オーダーをしました。


「白」の器は、今使っている食器類となじむのがうれしい。下村淳さんは唐津で研鑽を重ね、神奈川県藤野で制作活動を行っている。ろくろを使ったフォルムは茶器に通じる繊細さを感じさせる。貫入がときとともに表情を変えていく(写真左)。大和田友香さんは笠間焼で知られる茨城県笠間にて陶芸をしている。端正な形もさることながら、白の色合いが絶妙(写真中央)。外池素之さんは愛知県常滑にて活動。薪窯にて土まで焼き切るような焼成によって、無骨ながらも自然が生み出すやさしさを調和させている(写真右)


「えっ、素敵!」。作家から届いたマグの荷をほどくたびに、声を上げそうになりました。マグというおなじみのフォルムが、作家の個性により生き生きと躍動しています。また“白”の捉え方も作家の方によってさまざま。文字通りの純白、温かみのある白、光沢の艶感がある白、刷毛目で表現された白、窯の炎によって生まれた天然の白……。まさしく十人十色、器は陶芸作家の個性そのもの。ですが、不思議なことに、一堂に集まると、一つのハーモニーを醸し出すのです。どれも手仕事ならではのぬくもりと創造性にあふれて、一つひとつがアートピースとしての存在感を醸し出しています。今回のコレクションは、ロンハーマンのキュレーションによる日本の陶芸家たちのグループ展と言っていいかもしれません。

器の中でも比較的手軽に購入できるのが、マグの魅力の一つ。普段着感覚で選んでみては。長谷川奈津さんは神奈川県津久井で築窯。リンゴの木の灰を釉薬として使い、白地に薄ピンクのやさしい表情を生み出している。洗練された上質さをまとう(写真左)。岩田哲宏さんは都内で制作活動を行っている。造形美にこだわることで定評があり、ユニークなデザインのマグはもちろんオブジェとしても(写真中央)。山田隆太郎さんは、岐阜県多治見でキャリアを積み神奈川県藤野で作陶。土の力強さと素朴さを求めながらも、刷毛目の滑らかな表情が洗練さを生み出している


現在、ロンハーマン千駄ヶ谷店のリビングコーナーに、13人の陶芸家の皆さんの作品に出会う場をおつくりしています。好きな服を手に取るように、気になった器を手にしていただければ。手仕事の器は世界で一つだけのもの。器はていねいにケアをすれば、長年にわたり愛用できます。そして、ときとともに見た目の景色も自分好みに変化していきます。暮らしに寄り添い、毎日の時間を豊かにしてくれる自分だけのパートナーを、見つけてみてはいかがでしょうか。

加藤あゐさんは長野県下伊那郡にて作陶。ヨーロッパのアンティークをモダンに解釈したようなフォルムとディテールが魅力。随所に施された銀彩も、食卓と気分を明るくしてくれる(写真左)。服を選ぶように、まずは気になったデザインの一客を手にしてもらえたら。それが器の世界に親しむきっかけになれば


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