「あっ、いい香り」。「香り」は不思議な力を持っています。気分がリフレッシュしたり、癒されたり、うっとりと笑みがこぼれたり……。嗅覚を通して、私たちの心に働きかけて、ポジティブなエネルギーを与えてくれます。2021年、ロンハーマンのオリジナルコスメが誕生してから、多くのお客様に支持されてきました。その人気の理由の一つは、その香りなのです。「Komons」(コモンズ)とのコラボレーションともいうべきロンハーマンのオリジナルコスメ。Komonsのパフューマーでブランドディクレターの有井誠さんのセンスが魅力を添える
ロンハーマンのオリジナルコスメを手がけるのは、「Komons」(コモンズ)。山梨県の南アルプス市、名前の通り美しい山嶺を間近に、ぶどう畑が点在する自然豊かな地をベースの一つとして活動しています。クリエイションの源泉は、「Komons Fragrance Lab.」と名付けられた民家をリノベーションした研究室。黙々とフレグランスの源泉となるエッセンシャルオイルに向かい合っているのが、パフューマーでブランドディレクターの有井誠さんです。ロンハーマンのコスメバイヤー首藤紗綾子のインスピレーションを、有井さんがフレグランスに。「オリジナルコスメは100%天然香料でつくりたかったんです。ナチュラルコスメは万人受けするのは難しいのですが、天然素材にこだわりがある有井さんならと思いました」
コスメブランドの多くが香料会社にアウトソーシングしますが、原料の調達から調香までKomonsは自社で行います。フレグランスの業界では、扱いやすい価格で品質が均一な人工香料を使用するのが一般的ですが、Komonsが手がけるのは「天然香料」のみ。「ナチュラルで人にやさしい。人工香料を否定はしませんが、自然の香りが好きでない方はあまりいないと思います」と、有井さん。天然香料は高価で保存や調香にも手間がかかりますが、あくまでも人にやさしい「天然」にこだわります。というのも、有井さんがKomonsを立ち上げたきっかけは、大切な人への思いだったからです。「試作だけで200種類ものエッセンシャルオイルを使用します。ですが、同じ香料でもシーズンによってブレがあります。そのブレを前提で調香するのが難しいです」と有井さん
「家事をしている妻の手荒れが気になって……。毎晩、荒れた手にクリームを塗る姿を見て、人にやさしい洗剤を探しました。ですが、納得できるものが見つからず、それなら自分でつくろうと思いました」。有井さんも料理好きで自身も家事をしますが、「食器洗いはマイナスの時間。その手間をいかに短縮するかが世の中の洗剤の主流です。僕はその時間自体を楽しめるものにしたかった」。「毎日の家事を、心地よい時間に」をKomonsのコンセプトに掲げた有井さんが、いきついたのが「香り」でした。「香りは人のテンションにすごく大きな影響を与えますから」。香料会社に相談をしても、求める価値観に大きなズレが。だったら、自身でつくり出そうと考えましたが、フレグランスの知識はゼロ。「2年ぐらい引きこもって研究しました。売り上げもなく精神的にもきつく、『またやれ』と言われたらぞっとします」と、苦笑い。ですが、「素人出発だからこそ、結び付けられた」と、有井さんは振り返ります。「Komons Fragrance Lab.」は、山梨県南アルプス市の旧街道にほど近い場所にある。ラボには、のびやかな時間が流れる
そんなKomonsに、私たちが出合ったのは偶然でした。スタッフの一人が外食先のレストランで、Komonsのハンドソープを使用。あまりの香りの良さに驚き、ロンハーマン内でも評判に。ロンハーマンのオリジナルコスメをお客様に届けたい。この重要なプロジェクトをスタートさせるのにあたり、真っ先に声をかけたのが有井さんでした。コスメバイヤーの首藤紗綾子は、その理由をこう語ります。「ロンハーマンのお客様は皆様とても忙しい生活を送っている方も多いので、心と体にケアをする時間を取ることが中々できません。ですので、日々洗うものから、天然で薬理効果が高いといわれている香りで、ご自分自身をケアしていただきたいと思いました。女性にも男性にも、ご家族で使っていただきたい。そのためには上質であることが、もっとも大切です」。これまでに、Komonsとはコロナ禍にアルコールミストやマスクスプレーをコラボレーション。「香りはとても感覚的なもの。有井さんとお話をして、そのセンスや価値観がすごく近いものを感じました」。人気の「ルームアンドファブリックミスト」より、今シーズンにお目見えする春夏限定の「ミッドサマーシトラス」。柑橘系を中心としたさわやかなフレグランスは、これからかの季節にぴったり
「ローズと柑橘、ちょっとした重み」。首藤の有井さんへのオリジナルコスメへのオーダーはシンプルでした。言葉で表現することは難しいのが香り。頼りにしたのは有井さんのセンスでした。「えっ!? なんでわかったの」。提案されたサンプルをかいで、首藤は思わず驚きの声を上げました。自身が心に描いていたイメージとピタリと符合したからです。「アンバー(琥珀)のエッセンスオイルが使用されていたんです。自分が好きなナチュラルワインや紅茶は、透明感があって美しいアンバー色。私自身、仕事から疲れて帰ってきて、グラスやカップからあふれてくる香りに心がときほぐされて、とても助けられました。で、最初のフレグランスは『そんな香りを表現したい』と思っていたんです」。ロンハーマンのオリジナルコスメの主流となる香り「アンバー」の誕生でした。日本の良いものを開拓することを使命としている有井さん。「『岐阜のマチュピチュ』、『天空の茶畑』と呼ばれる無農薬で栽培されたお茶の実から絞ったオイルを、オリジナルコスメにも使用しています。肌の常在菌が活性化するといわれる成分が含まれています」
一方の有井さんは、「『何十回試作することになるんだろう』と身構えていたので、まさかの1回で決まって驚きました」と、笑いながら振り返ります。しかし、有井さんの心の奥底には、パフューマーとしての自負があります。「香りの深みや複雑さを出すことを、すごく意識しています。ひと言で『何の香り』といえないようにつくっています。それが使い終わってももう1度使いたいという、クセ感みたいなことにつながっていると思います」。「香りの可能性は無限。だから、おもしろくも難しくもある」と、口にする有井さん。その終わりなき探究心が、これからもロンハーマンのオリジナルコスメの魅力を増してくれることでしょう。大学院で工学を研究と理系畑を歩んできた有井さん。「香りはロジカルに左脳でサイエンスし切れないところが、すごくおもしろいなと思います」と、目を輝かせる
Journal

Ron Herman Original Cosmetics
Ron Herman Journal
Issue 108Posted on Apr 10.2025
Latest Issue
-
Ron Herman Original Cosmetics
Issue 108Posted on Apr 10.2025「あっ、いい香り」。「香り」は不思議な力を持っています。気分がリフレッシュしたり、癒されたり、うっとりと笑みがこぼれたり……。嗅覚を通して、私たちの心に働きかけて、ポジティブなエネルギーを与えてくれます。2021年、ロンハーマンのオリジナルコスメが誕生してから、多くのお客様に支持されてきました。その人気の理由の一つは、その香りなのです。
Read More -
SMYTHSON
Issue 107Posted on Mar 14.2025エレガントで繊細な美しさを漂わせながら、手にすると伝わってくる確かな信頼と安心感。そして、ずっと愛用したくなるときめき。「SMYTHSON」(スマイソン)のアイテムがまとう不思議な魅力は、長年にわたり世界中の著名人や多くのファンの心をつかんできました。
Read More -
MIZUKI Reborn Project
Issue 106Posted on Feb 21.2025ジュエリーは、この世に二つとして同じものはありません。なぜなら、その一つ一つに持ち主のかけがえのない思い出が宿っているからです。ジュエリーは親から子、次の世代へと、大切なストーリーとともに紡いできた物語といってもいいでしょう。ですが、尊い存在ゆえに身につけることができず、クローゼットに眠ってしまっていることも少なくはありません。そんなジュエリーたちに新しい命を吹きこみたい。それが「Reborn Project」(リボーンプロジェクト)なのです。
Read More -
Say You Love Me
Issue 105Posted on Dec 11.2024人と人との心が、いつもより近づいて、やさしさとぬくもりを贈りたくなる……。クリスマスのホリデーシーズンには、そんな不思議な魅力があります。私たち、ロンハーマンにとっても、クリスマスは特別な時間です。
Read More