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HOORSENBUHS

HOORSENBUHS

Ron Herman Journal

Issue 82Posted on Nov 30.2023

チェーンのようにつながった独特なデザインに思わず目がひきつけられる。ゴールドやプラチナ、ダイヤモンドなどを使用した上質でラグジュアリーなジュエリーだが、どこか遊び心が漂う……。ロサンゼルス発のファインジュエリーブランド、「HOORSENBUHS」(ホーセンブース)です。2005年にスタートして以来、ミュージシャン、アーティスト、デザイナーなど多くのクリエイターたちからも支持されているアメリカでも指折りの人気ジュエリーです。カジュアルでもフォーマルでもシームレスに楽しめるアメリカ西海岸らしい自由さが、人々を魅了する理由の一つでしょう。



ロンハーマン神戸店でのトランクショーのために来日した「HOORSENBUHS」(ホーセンブース)ブランドディレクターのケシャー・パーカーさん。ロンハーマン・ウィメンズバイヤーの篠崎茜(しのざきあかね)が出迎えた


創業者のロバート・キースさんは、ハリウッドで写真家や俳優として活躍していました。しかし、自分が求めるものがその世界に見つからずに、他の道へ進むことを決意。そのころに、まったく知識がないにもかかわらず、何の気なしに一つのリングをつくりました。ゴールドをチェーンのように結びつけたデザイン。そのアイデアは16世紀、ロバートさんの祖先がキャプテンをしていたオランダ商船の鎖から思いつきました。そして、運命の日が。ある日コーヒーショップで女性から声をかけられたのです。「すごく素敵ね!」。ロバートさんがつけていたリングを目にした女性が、同じデザインのリングをオーダーしたのです。それが、すべての始まりでした。



愛用のリングとブレスレット、右手にはトランクショーのジュエリーを。「ゴールドは僕にとって“人間”を感じる特別な素材。ゴールドは何千年も昔から人々に愛されているから、人々のエネルギーを感じる」とケシャーさん


そのようなエピソードから、ブランド名には祖先が乗船していた船の名前「HOORSENBUHS」を。そして、「TRI-LINK」(トライリンク)——チェーンのように結びつけたデザインが、ブランドのシグネチャーデザインとなったのです。「HOORSENBUHS」に欠かせないのが、ブランドディレクターのケシャー・パーカーさん。二人ともカリフォルニア出身で、サーフィンやバイクはライフスタイルの一部。サンタモニカの「HOORSENBUHS」のアトリエには、カスタムバイクがスタンドをおろしサーフボードが転がり、西海岸らしいストリートカルチャーのエッセンスに満ちています。そのような空気が、ファインジュエリーとしての「HOORSENBUHS」にエッジを与えているのでしょう。とはいえ、ものづくりの姿勢はブレることはないと、ケシャーさんは語ります。


右:ウィメンズの別注ネックレス。クラシックなオープンリンクチェーンを長さを変えてオーダー。長さが異なるだけでまったく違う表情が生まれる。マイクロという最小のチェーンを採用することで繊細でエレガントに 左:「HOORSENBUHS」の原点ともいうべきゴールドのトライリンクリング(中央)


「『HOORSENBUHS』のコンセプトは、オリジナルメイカーズマーク(製造者の印)、つまりトライリンクという受け継がれた遺産にあるんだ。ロバートがデザインするアイテムのすべてはその遺産、受け継がれたDNAからの発想から生まれているのさ。だから、僕たちは流行に左右されることはなく、一貫してコンセプトを守り抜いていく。リンクはとても強いつながりとともに、技術的にもデザイン的にも“強さ”を表している。だから『HOORSENBUHS』を身につけていれば、どこへ行ってもそのDNAを感じられるはずさ」



メンズの別注はブレスレット、リング、ネックレスの3アイテム。どれもSilver.925を使用し武骨でソリッドに。「デザインをトーンダウンして、芸術的でミニマムに仕上がっている。とても感動的なアイテムだよ」


ブランドディレクターの仕事の一つは、世界へと「HOORSENBUHS」の魅力を広げていくこと。現在、海外の多くのショップで受け入れられているのは光栄だとケシャーさん。ロンハーマンでも、多くのお客様が「HOORSENBUHS」を愛しています。今シーズンはウィメンズ、メンズともに別注をオーダーして、大きな人気を呼んでいます。さらに、好評なのはストアで開催するトランクショー。「ロンハーマンと『HOORSENBUHS』は最高のマリアージュだと思うよ。だって、僕たちはカリフォルニ出身でロンハーマンはいつも身近な存在だったから。ハイブランドのショップに行くと、まるでロボットが話しているような決まりきった出迎え方をするけど、気さくにお客様をお迎えしたい。友達を迎え入れるような感じでね。どんなに高価なジュエリーでも、身構えずに手に取って気分よく見てもらう。そんな新鮮な経験をしてもらいたいんだ」。


ジェンダーレスで楽しめるのも「HOORSENBUHS」の魅力。レイアーをして、さまざまなスタイリングに合わせることができる自由さも人気の理由の一つ


現在、「HOORSENBUHS」はブランドの成長にともない、アイウエアやアパレルなども手がけています。ですが、「ジュエリー」が礎であることは揺るがないと、ケシャーさんは力強く語ります。「世代を受け次ぐクラシックなジュエリーをつくり続ける。100年先も受け継がれていき、誰かが海の底で僕たちのジュエリーを見つけてくれたら、とてもクール! タイムレスでクラシック、エレガントだけど奇をてらっていない。そんなジュエリーを目指しているんだ。年齢や性別に関係なくすべての人に身につけてもらいたい。僕たちにとって、ジュエリーこそすべてなのさ」。上質でラグジュアリーながら、遊び心を忘れない。そして、流行に左右されないアイテムをお客様へ提案する。そのコンセプトは、私たちのフィロソフィーとも重なります。きっと「HOORSENBUHS」は、この先も世界のジュエリーの海をどこまでも航海していくことでしょう。



「『HOORSENBUHS』のジュエリーは、トレンドに左右されて2,3年で飽きられてしまうようなものではない。このトライリンクというシグネチャーデザインは、DNAとして受け継がれていくのさ」

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